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馬鹿みてぇな幸せなんか望みやがって。
いいさ、それでも俺はオマエに彼女が出来れば嘘の笑顔はっつけて喜んでやる。結婚したら式にも参列するし、子供が出来たら喜んでやる。
それをこれからも俺は繰り返してくんだ。
岳と菫は付き合うだろう。
だけど岳は菫の事を良くわかって無い。清楚でもなんでもねぇ。相変わらずオマエは女を見る目がねぇよ。
岳の幸せを願って無い訳じゃない。
勿論幸せになって欲しい。
それとは対極したこのアンバランスな気持ちでも。
寄せては返す波の柔らかい音を聞いていると、
そんなでも良い。と思えてくる。
ぼんやりと波しぶきを見ながら短くなったタバコを再度吸い込み、手にした空き缶に投げ込んだ。
戻るか……と立ち上がろうとした時。
「鼓ーーー!」
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