1 再会

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1 再会

「お~い、こっちだこっち。大神~い!」  そんなにデカイ声を出さなくても分かる。  心の奥でツッコみながらも、振り返る女子どもの視線を意識して顔をつくり、俺は右手を上げた。  金曜日のビア・ホールはたくさんの人で賑わってはいるものの、ヤツのデカイ図体はイヤでも目を引く。 「久しぶりだなあ、おい!」  嬉しそうな顔をして、不躾に肩をバシバシ叩く。 「止めろ馬鹿力。  燈子も来たいと言ってたんだが…  身重の身ではな。止めさせておいた」  取りあえずビールを2つ注文する。 「あのトーコちゃんが身重かあ。 なーんかヘコむよな。まさかオマエの子じゃないだろうな?」 「俺に決まってんだろうが。他に誰がいるってんだ」 「ショジョ生誕とか」 「んな訳あるか、100パーセント俺の精…モガッ」 「それ以上言うな…」  このヤタラと声と図体のデカイ失礼な男は、熊野吾郎。 10年ほど前、同期入社で同じ課に配属されて以来のくされ縁だ。
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