泥沼の始まり

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恋愛ってお互いが幸せでいられるものだと思っていた。 それはこの恋も例外なく同じだと。 久しぶりに会った彼女に何故だか僕は緊張し続けていた。 いや、怖かったんだ。 彼女は機械みたいに淡々と話していた。 「いつもやってたネトゲがメンテで遊べなくて困っちゃったよ」 それは困るねって言い合えるはずの話なのに、僕は言葉が出なくて。 「そうなんだ......」 って一番つまらない返事が出てきた。 一緒に食事をした後、2人の間には沈黙しか無かった。 先に切り出したのは彼女だった。 「ねぇ、話さないならもう帰るけど」 「あっ......ゴメンね......」 短い間だったけど、恋人同士の関係の終わりはこんなに冷たくて苦しいものだとは思っていなかった。 もしかしたら僕はこんなに壊れた状態でもまだやり直せると思っていたのかもしれない。 「お金はとりあえずまずは半分払うから......」 「なんでいつの間にか半分しか払わないってことになってるの!」 「ゴメンね、ちゃんと全部払うよ。僕の言い方が悪かったよね......」 彼女の怒号に僕はただ謝ることしか出来なかった。 「とにかく全額払ってくれるまで話すことなんか無いから」 「じゃあね」 そう言って彼女は僕を置いて店を出ていった。 僕も慌てて追いかけたけれど、もう彼女の姿はどこにも無かった......
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