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「クリスマスケーキも手作りできれば最高だが、流石にそこまでは手が回らないよな。人気パティスリーで予約したものだから味は間違いないはずだが」
「優愛ちゃんのリクエストの『白くて苺とサンタさんが乗ったかわいいケーキがいい!』って言葉通りの品物が買えましたね。優愛ちゃん喜ぶだろうなあ」
ダイニングテーブルに、グラスや皿、フォンデュ用のチーズを温める準備をしながら、自分自身もどこか気分がはしゃいでいることに気づく。クリスマスというのは、いつになっても心が浮き立つ不思議なイベントだ。
「チキンは宮田くんが自分で作るんだって?」
「ええ。なんかすごく自信ありげです、って、数日前に須和くんからメッセージもらいましたけど……あの二人、ルームシェア始めてから実際どうなんでしょうね?」
「今月初めから同居スタートだったよな。とりあえず約3週間一緒に過ごしたことになるが……二人がどんな顔で来るのか、実はかなり興味ある」
「俺もです」
顔を見合わせ、思わずククッと小さな笑いが出る。
今日は人数が多いので、フォンデュ鍋はテーブルに二つ用意した。あの独特の長いフォークも大人の人数分。優愛ちゃんには、小さくて可愛い子供用フォークを用意した。
二つの鍋の下に蝋燭をセットし終えたところで、家の呼び鈴が鳴った。
「んぶんぶ!」
「だー、だあ!」
この音が鳴ると、家の中の空気が賑やかになることを知っているのだろう。プレイマットの上で遊んでいた子供たちが楽しげに反応した。
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