3章……交錯する想い

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眼鏡を外した潤んだ瞳にしっかり目を合わせると 奏が薄い唇を何か言いたげに少し動かして困ったように眉が動く 「…違うでしょ茅乃…オレをちゃんと欲しがって、そして奪わせてよ…頼むから…」 奏は本気なのだろうか? 若くて魅力的な貴方には沢山相手がいるでしょう? 「なぜ私なの?」 そう聞けば綺麗な榛色の瞳で真っ直ぐに視線を向けてくる 「好きだからだよ、出会った頃からずっと、茅乃が好きなんだ」 悲痛な声に胸が痛い 「…私は人のモノなのよ?」 奏の唇が私の胸に降りる 「分かってる、そんなの初めから分かってる…地獄に落ちてもいいから貴女が欲しい…ねぇアイツから離れて、お願いだよ…」 囁く吐息に体の力が抜けて行く 「家に帰るな…オレの傍にいて…」 奏が好きで…傍にいたいと思うけれど 一方で岳人から離れる選択も出来ず… 私はまだ答えは出せないでいた
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