青天の霹靂

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青天の霹靂

朝起きると、母親がバタバタと走り回っていた。 「どうしたの?」 「それが、おじいちゃんが転んで骨折したのよ。しばらく入院だって」 おじいちゃんというのは父方の祖父で、みかん農家をやっている。祖父は祖母と二人暮らしで、昨日みかんの世話中に脚立から落ちたらしい。 「元気だ元気だと思ってたけど、そんな事で骨折なんて親父も年なんだよな」 父さんが朝食を食べながらしみじみと言った。 「あなた、しゃんとしてよ。ちゃんと報告するからね。幸太は学校があるからお留守番してて。これ、とりあえずの食費ね。無駄遣いしないで」 母さんは2万円をテーブルに置くと荷物を持って玄関に向かった。祖父の家はここから車で3時間かかる。母さんんが車で先に向かい、父さんは仕事の後新幹線で行くらしい。どうしても出ないといけない会議があるんだそうだ。大人は大変だな。 骨折の治癒までどのくらいかかるか分からないが、2万円を置いていくという事は少なくとも1週間くらいは向こうにいるとみてるんだろう。 「運転、気をつけて」 「うん。幸太も戸締まりと火事に気をつけてね。よろしくね」 「任せてよ。こっちは大丈夫だから、おじいちゃん宜しくね」
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