特別になった日

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特別になった日

 今日はバレンタインだ。  バレンタインは小さい頃から知っていた。  でも、それは自分とは関係のないものだとずっと思って来た。  なにしろわたしは他人に興味がない。同性、異性関係なく。バレンタインという言葉を知るよりも前から、二十歳を過ぎた今でもずっと。  きっかけは母だ。  お菓子作りが好きな母は、小さい時からわたしに手作りのお菓子をたくさん食べさせてくれた。甘くておいしいお菓子を毎日のように食べていれば、当然太る。わたしの家では「太る」という言葉はほとんど使われないので、その言葉を知ったのはもう少し後だったけれど、そんなわたしを見て、母は丸くてかわいいと言っていた。  けれどわたしは、鏡に映る自分がかわいいとは思わなかった。理由もなく、本能的にこの体型は嫌だと思った。母は優しいし、お菓子は甘くておいしいけれど。  それでわたしは、他人の意見は当てにならないのだと思った。  それ以来、わたしは他人に興味がない。  他人が何を考え、どう生きようがわたしの知ったことではない。誰かのことを考えるなら、自分のことを考えていたかった。それは別に他人が嫌いだというのではない。ただ興味がないのだ。     
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