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 翌朝、早速俺たちの住む家を訪れた次郎を見て、愁は驚いた様子で目をぱちくりさせていたが、「もう、……今度盗撮なんかしたら、絶対許さないからな!」と可愛らしく叱った後、快く次郎を迎え入れた。  慣れない異国生活での淋しさもあったのだろう。気心知れた次郎がいつも側にいてくれることが嬉しいらしく、やたらと子猫のような愛らしい笑顔を振り撒いていて、少なからず嫉妬してしまった。 「次郎、今夜はクリスマスのお祝いしようよ。昔みたいに、一緒にケーキ作ろう!」 「坊ちゃんがあの頃のことを覚えていてくださったなんて、……この次郎、無上のしあわせに存じます」  とかなんとか言い合いながら、次郎のやつは感極まったのか、目頭をハンカチで押さえている。  なんて涙が似合わない男だ。やはりあの時さっさと始末すれば良かったと、心のなかで悪態をつきながら、それでも愁が嬉しそうだから、許してやろうと思い直す。
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