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修司は、楽しそうに話す竜次郎の顔に手を押し付けた。振られた時に恥ずかしいという理由で相手の詳細は伏せているのだ。竜次郎は不満そうに、しかしどこか楽しそうに「自分は内緒にされるの嫌なくせに。」と話すが、それでも修司は「煩い!」と一喝するのみだった。
「修司今日委員会?」
「今日は部活直行するよ。」
「んじゃ一緒に行こうぜ。俺四時から部長会あるから一回抜けるけど。」
そんな会話をしながら廊下に出ると、文化祭の準備をしている生徒たちの賑わう声が耳に入った。文化祭は来週末だ。今日の部活では、文化祭当日の当番表を作る予定だ。部室の扉に手をかけるとすでに鍵は開いており、中に誰がいる事がわかった。
「お兄ちゃん、竜ちゃん。お疲れ様ー。」
そう言って手を振ったのは八谷沙智、修司の一つ下の妹だ。沙智は手に持っていた本を机に置くと、二人が座るだろう机に紙とペンを配置した。
「今日シフト作りでしょ?とりあえずクラスとか部活の時間決まってたら書いて行こ!」
「そうだな。」
そう言って三人は文化祭当日のクラスのシフトの時間と、掛け持ちしている部活のシフトを書きだした。竜次郎は剣道部、修司はテニス部を兼部しているのだ。すぐに書き終わった修司は近くに置いてある漫画に手を伸ばす。
「そういえば修司、明日は予定入れてないよな?」
「明日竜次郎ん家で新作のゲームすんだろ?」
「お前たまに俺との約束忘れるから確認。」
「そんな酷い事したことないよ。」
「いや兄ちゃん結構約束すっぽかすよ。」
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