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時折巡回して誰が置いているのかと見張るのだが、敵は中々手強く二人ともそんな時は一向に姿を見せてはくれない。
カウンターから呼び出しのベルが鳴り慌てて戻って業務を済まし、またそこへと戻ると既にノートは置かれていて地団駄を踏みたいのをぐっと堪える。
ノートが無くなる時もまた同じだった。
彼らが背徳の恋なら、私は背徳の行為をしている。
人の手紙を勝手に盗み見ているのだ。
しかも、特定の人に向けた愛の言葉を。
それがどんなに罪なことか。
多分自分が逆の立場なら、絶対に嫌だ。
自分の紡ぐ言葉を誰かに無断で見られるなんて。
でも、私は見ずにはいられない。
一瞬にして侵食された私のココロ。
私は彼らの言葉に酔っていた。
まるで乗り物に酔うように、その恋を纏う言葉に酔う。
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