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背徳
今日は金曜日。
特別な日だ。
私は朝から緊張している。
背中がぞわぞわして落ち着かない。
いや、多分あれを読んでからずっと、金曜日は落ち着かない。
だけれど、今日の金曜日はいつもと違う
自分の人生とは全く関係の無い事なのに。
それでも気にせずにはいられなかった。
彼らの行く末を、私は覗き見している。
その背徳の恋を知っているのは、私ただ一人。
その存在に気がついたのは三ヶ月ほど前だった。
図書委員の私は火曜日と金曜日に係りになっており、昼休みと放課後にカウンターに立つ。
ある日、誰も来る気配の無い図書室内をあまりにも暇で一人徘徊していた。
そこで気が付いたのだ。
誰が利用するかも分からないが、一番奥の目立たない棚に置かれた持ち出し禁止のシールの貼られた分厚い辞書二冊。
それに挟まれた、シンプルなノートを。
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