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叫び声を上げ、勢いよく上半身を起こして声がした方に顔を向ける。
すると、そこには目がしっかりと開いていて、起き上がった私を微笑んで見つめている高柳がいた。
「あ、あなた……起きていたの?!」
「うつらうつらとしていたら、キミにしては小さな声が横から聞こえてきたからな。珍しくて聞き耳を立てていた」
「もう……! 盗み聞きをするなんて、相変わらず嫌な性格をしているのね!」
以前もこんなことがあった。
まだ想いを伝えあっていなかった時、私が一方的に感じていた幸せを一人で語り、その時にこの人は盗み聞きをしてからかうどころか、キスのお手本までやってみせたのだ。
「そう思うのなら、独り言は本当に一人でいる時に呟いた方がいいと思うぞ」
「今度からそうさせてもらうわ……!」
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