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滝田は服部の餌食になった人間だ。
この様子だと未だに記憶が戻っていない。
「ちょっと失礼」
俺は断りを入れながら両手を構えて滝田の頭へ。
「え……うっ!」
滝田に秘孔をつくと、小さな呻き声を上げた。
これ以上最悪な状態になることはないし、試しに服部が圧した所と同じ場所を圧してみた。
滝田はフラッと蹌踉めくと、カッと開いた両目をこちらに向けた。
先程まで気弱そうだった目が、力のある目へとガラリと変わった。
「え?あ?一条先生?あれ!何で!?全部思い出した!」
俺を見ながら溢す言葉と雰囲気は先程とは別人だ。
目論見通り。
さすが俺。
「良かったね、思い出せて」
「ありがとうございます!一条先生!このご恩は一生忘れませーん!」
滝田は笑顔で手を振りながら去って行った。
たまには人助けも悪くないね。
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