小さな花と猫の旅

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※※※※※  翌朝、フィオレオはガットと分かれて行動した。ガットには、今日も魔法協会で不調の原因を探ってくると言って、出てきた。しかし、協会には行かなかった。 どうしたらガットの傍にいられるのか、一生懸命考えた結果だった。 覚悟を決めフィオレオは、『マーケット』と書かれた一角に入っていった。  思っていたよりも時間がかかり、夜遅くになってフィオレオは宿に戻った。部屋のドアを開けると、ちょうどガットがシャワーから出てきたところだった。濡れた髪をガシガシと薄いタオルで乱暴に拭いている。 「遅かったな?」 「ええ。ちょっと、時間がかかってしまって…」 深く被ったローブのフードで顔を隠したまま、フィオレオはガットの横を通りすぎようとした。しかし、普段と少し雰囲気の違うフィオレオの変化を感じたのか、ガットが腕を掴んだ。 「どうしたんだ、お前。腹でも下してんのか?つーか、フードなんかして暑くねぇの…っ…お前…それ、どうしたんだ?」 ガットが何気なくフィオレオのフードを頭から下ろす。フィオレオが慌てて顔を隠そうとしたが、一瞬遅く、ガットが固まるのが分かった。 二人の間に、緊張が走る。 意を決して、フィオレオが口を開いた。 「髪は…切りました。目は質に入れました」 少し震える声でフィオレオは言った。  フィオレオの腰まであった髪は、項が見えるほど短くなり、右目には眼帯を付けていた。魔法使いにとって髪は魔力を溜める部位で、とても貴重だ。それが金髪となると、貴重さが増して高く売れる。そして、碧目もまた貴重なものとして、一部の人間にコレクションされることがあった。それらを合法的に売り買いするのが、『マーケット』で、昼間に行った所だった。 ローブの前を開けて、手に持っていたアタッシュケースをガットに見せる。中には大金が入っていた。
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