山城結人

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放課後、同じクラスの会長に「文化部の話を一緒に聞いて欲しい」と頼み、渡り廊下へと連れ出した。 丁度良いタイミングで例の三年がヤツの体を引き摺って行くところだった。 だけどまだ早い。 校舎から死角になった木陰のベンチにヤツを押し付けた時、わざと足を止めて小さく声を上げた。 木が少し邪魔だけど、三階の渡り廊下から見れば表情が隠れて却って丁度良い角度だ。 ヤツが縋り付いてキスしているように見える。 僕の声に視線を追った会長の顔が、見る間に蒼白になって固まった。 怒りに震え、僕の最初の頼みなど忘れた会長は急いで踵を返して生徒会室に向かった。 そして今までの写真を皆の前で叩き付け、「全て真実だ」と云い放った。 次の朝、何も知らずにやって来て、会長や役員の侮蔑の視線や言葉に絶望したヤツの顔を見た時の快感と云ったら無かった。 ヤツに向かって涙を流しながら、笑いを堪えるのに必死だった。 でもこれで終わりじゃない。 ヤツにはもっと深い絶望を味わって貰う。 いつしか僕は兄の為と云う名目で、ヤツを苦しめる快感に溺れていた。
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