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そうして、圭太と芹那の結婚式。
美夜と滋。
祐と凛。
坂井と雪子。
滋の母、範子。
回復した戸川と由里も、そして流星も参列している。
芹那の両親、兄と妹も来てくれている。
みんなが、心から祝福していた。
芹那は、純白のウェディングドレスを着て、ティアラを頭の上に乗せ、白いベールに包まれている。こんなに綺麗な人、見たことない。芹那は、バージンロードをゆっくりと歩いて、俺の元へと歩み寄ってくる。その隣で芹那と腕を組んで歩いている原田先生の瞳は、すでに赤い。感極まって、涙ぐんでいるんだろう。
パイプオルガンのウェディングマーチに合わせて、ゆっくりと芹那が近づいてくると、俺は泣きそうになって唇を噛み締めた。嬉しくて微笑みも溢れるのに、感動して泣きたくもなるなんて。
「絶対、芹那さんより圭ちゃんが泣くよ」
美夜が式の前にそう言って、控室でみんなと笑っていた。まったく、その通りになりそうだ。
だって、こんな幸せそうな芹那を見て、胸が高鳴ってるんだ。切なくて、嬉しくて、そりゃ泣きたくもなるよ。
芹那は白いベールの奥で、世界一美しい笑顔を浮かべて、俺を見つめている。
父さん。
見えてる?
あなたには得られなかった、唯一無二の幸せを、俺はこの手に掴むよ。
愛されなかったのは、過去のこと。
これからは、いやっていうほど、この人を愛していく。
大切な人に見守られながら、ここに誓うよ。
ずっと昔から憧れてやまなかった、夢のカケラが、カタチを成して、愛になる。
俺たちの新しい未来は、ここから、輝き出すんだ。
完
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