二人の素顔

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「黒木さんの帰社予定ね、ちょっと待ってね…」 この前、すれ違った後から、今日までの三日間、黒木さんは、朝は現直で、帰りは遅いのか、直帰なのか分からなかった。 だから、私は彼に会えないでいた。 その間、謝罪メールの返事は着たが。 『 Re:申し訳ありませんでした 気にしないで大丈夫です。僕の事も。 黒木 申し訳ありませんでした この前の飲みの席は、大変ご迷惑をお掛けしました。 本当に、申し訳なく思っております。 今度、会ってちゃんとお詫びいたします。 <(_ _)> 佐藤 葵 』 そっけないメール。 男って、皆こんな感じなのかな。 それとも… やっぱり、嫌われたのかな。 人から故意に、避けられた事は初めてだった。 悔しいとか、怒りは感じず、なんだかとても悲しくなった。 「…葵ちゃん、黒木さんとなんかあったの?」 管理課のお局様、橋口さんが、薄く笑みを携えて訊いてきた。 「いいえ、何もありませんよ。ちょっと取引先から都合を訊かれただけです」 営業の、毎日の行動予定表は、管理課に提出されている。 私は、痺れを切らして、橋口さんに、彼の帰り予定を訊いてみたのだが。 「ふーん、ええと、帰社は未定になってるわね、ここんとこ毎日…」 「あ、ありがとうございました」 「気をつけてね、顔に出てるわよ」
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