4人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「黒木さんの帰社予定ね、ちょっと待ってね…」
この前、すれ違った後から、今日までの三日間、黒木さんは、朝は現直で、帰りは遅いのか、直帰なのか分からなかった。
だから、私は彼に会えないでいた。
その間、謝罪メールの返事は着たが。
『 Re:申し訳ありませんでした
気にしないで大丈夫です。僕の事も。
黒木
申し訳ありませんでした
この前の飲みの席は、大変ご迷惑をお掛けしました。
本当に、申し訳なく思っております。
今度、会ってちゃんとお詫びいたします。
<(_ _)>
佐藤 葵 』
そっけないメール。
男って、皆こんな感じなのかな。
それとも…
やっぱり、嫌われたのかな。
人から故意に、避けられた事は初めてだった。
悔しいとか、怒りは感じず、なんだかとても悲しくなった。
「…葵ちゃん、黒木さんとなんかあったの?」
管理課のお局様、橋口さんが、薄く笑みを携えて訊いてきた。
「いいえ、何もありませんよ。ちょっと取引先から都合を訊かれただけです」
営業の、毎日の行動予定表は、管理課に提出されている。
私は、痺れを切らして、橋口さんに、彼の帰り予定を訊いてみたのだが。
「ふーん、ええと、帰社は未定になってるわね、ここんとこ毎日…」
「あ、ありがとうございました」
「気をつけてね、顔に出てるわよ」
最初のコメントを投稿しよう!