29(承前)

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 手元には機関銃と敵基地破壊工作のための爆薬が残されているだけだった。ミサイルは緩衝地帯への侵入と最初の会敵でつかい果たしている。 「こちらにはもう武器がない。雲山改の損失は覚悟で、基地の破壊活動に集中しよう。全機散開、それぞれの破壊目標に走れ」  この攻撃ですくなくとも半数の雲山改は失われるだろう。タツオが悲壮な決意で命令すると、すぐに返事を寄越した者がいた。ジャン・ピエール・スクラポンの明るい声が耳元で響く。 「それなら、ぼくの出番だろ。ここにいる生身の人間はひとりだけだ。ゲリラ戦で敵の武器を奪って、反撃するのには慣れてる。轟4ロケットランチャーなら、あちこちに落ちてるしね」
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