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随分と貧乏暮らしが長かった。
養護施設を飛び出し、所持金無しで駅のホームに立ち、人買いに買われ、泥にまみれて金を稼いだ。
パン屋で貰ったパンの耳を焼いたり、油で揚げたり、そんな風にしてしのいで、爪に火を点すようにして金を貯めて来た。
そう、俺は、孤児だった俺の夢は、マイホームを持つ事だ。
借金はしない
それは俺のポリシーであり、借金で潰れた人を何人も見て来て、それが天の教えだとも認識している。
そして終に、通帳に、二千万円の現金が貯蓄された23歳の春。
待ちに待ったマイホームの物色に、俺は動き出した。
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