/674ページ
でも、こんなに完璧な人がなぜ今フリーなのだろうと不思議に思ってしまう。
普通なら、恋人がいてもおかしくない。
久我さんは現在三十歳だと言っていた。
私の二つ年上だ。
今までの恋愛で、結婚を考えたことはないのだろうか。
自分は結婚願望がないくせに、他人の結婚歴は気になってしまう。
「失礼ですけど、久我さんはずっと独身ですか?過去に結婚したことがあるとか……」
「いえ、一度もないです。七瀬さんは?」
「私もないです。というよりも……」
自分には、結婚願望がない。
結婚して幸せになる未来が想像出来ない。
好意を寄せてくれている久我さんには、ハッキリ伝えておくべきだと思った。
「あの、実は私、今まで結婚したいと思ったことがないんです」
「え?」
「理由はいろいろあるんですけど……とにかく自分は結婚に向いていない気がしていて」
猫を被っても意味がない。
いつかその考えが変わる日が訪れるかもしれないけれど、今の私の本心を伝えておきたかった。
「だから、もし久我さんが次付き合う人と結婚を考えているようなら……」
私とは、関わらない方がいい。
そう伝えるつもりだった。
「七瀬さん。実は僕も、結婚願望がないんですよ」
予想外の言葉が返ってきて、私は目を見開いた。
最初のコメントを投稿しよう!