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「ねぇ、俺の事わかる?幼稚園、一緒だったよな?笠木幼稚園だったろ?
あとさ、あれだろ、三丁目のマンションに住んでるよな?小学生の頃、公園で遊んだ事あるよな?
名前、何て言うんだっけ?教えて?」
同じ中学の奴らとは、見事にクラスが別れ、見知らぬ顔に囲まれて、ボンヤリしていたら、突然肩を掴まれた。
それは確かに見覚えのある顔だけど、はっきりとは覚えていない。
まだ幼さの残るふっくらとした頬と、よく動く口元からのぞく八重歯、楽しそうにキラキラ輝く瞳が印象的だった。
「大坪順也。」
恥ずかしさと緊張を抑えて、ぶっきらぼうに答えた。
「そうだ!順也だ!思い出した!
俺ね、森悟。覚えてる?」
「ごめん。会った事ある気はするんだけど…。」
それにしても…馴れ馴れしいというか、距離が近いというか…。
今まで俺の周りには、居なかったタイプの人間だ。
まあ、初対面ではないみたいだし、と、細かい事は気にせず、森悟と話していた。
逆に、知らない奴らばかりの中で、顔見知りという妙な安心感を感じて、この馴れ馴れしい男のペースに流されていた。
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