夢の直路

彼女の夢

『千紗……愛してる』

「私も……あ、い……」

自分の声で目覚めた。
そしてまた、深く落ち込む。
ああ、今日のそれもまた夢だったのかと。
喪失感の中で迎える朝を、私はあとこれから何度繰り返さなくてはいけないのだろうか。

一年前から、私は同じ人が出てくる夢を見続けている。
私は夢の中で、その男の人と一緒に暮らしていた。
その彼とは夢の中では恋人という設定らしく、しかも二人はとても愛し合っていた。
その日によって夢の内容は異なる。
ある日は、ソファーで肩を寄せ合い映画を見ていたり。
ある日は、二人でキッチンに並んで立って朝食には少し遅い昼食を作ったり。
また別のある日は、私のベッドよりも少し大きなそれの上で時には優しく時には激しく愛し合う。
私は彼に何度もキスをねだり、彼は私が望むそれ以上の愛情に満ちたキスを重ねてくれていた。