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──後日、A子は逮捕された。
彼女の部屋のベランダから男性の遺体がみつかったのだ。
彼女が逮捕された前日、長めのメールがA子から私に届いた。内容はこんは感じだ。
『大学で出会った大好きな男に告白したが、彼には好きな女性がいた。諦める代わりにその人は誰かと聞けば、あんただった。
この際だから仲を取り持ってあげると、相談を理由に男を部屋へ誘い、隙をみて殺した。
あんたを泊めた夜、あんな騒ぎがなければ、ベッドの下に忍ばせた包丁であんたも殺してやるはずだった。
あれから、四六時中あの男が現れて、ただ立ち尽くし恨めしそうに私をみる、もう限界だ、自首します。』
読み終える途中から、涙で文字が滲んで見えた。
そっか、包丁を握ったベッドの下の男は、私を守るために、A子に包丁を渡すまいと、強く、固く握りしめてくれていたんだ。
「ありがとう」私はその人に感謝と、心からの冥福を祈った。
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