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「確かに40年分の獲得した知識や経験は惜しいが、それも他の個体からフィードバックするればいいだけだ。所詮どんなに可愛がっていてもフィアも機械だからな、言う事を聞かないと判れば簡単に壊せるんだろう」
「──あおいは、今、どこに……?」
俺は低い声で聞いていた、まさかもう『処分』されたとか?
「部屋だよ」
長島は天井を指さしながら言った。
「フィア達アンドロイドはこのビルの最上階に住んでる。ビルの中とは言え隔離されたエリアだ。たまに幹部達に付き添って外出する事もあるけど──正しく籠の鳥だよな」
俺は聞くだけ聞いて、長島さんに礼を述べてそこから出た。
*
最上階は幹部達の執務室が並んでいるものだとばかり思っていた、その上があったんだ。
散々歩き回っても気付かなかった。そして歩き回って、多少なりとも建物の構造を把握はしている。
至るところに監視カメラが設置されている、トイレの出入りすら見える。
でもさすがに中にはない、その行為まで見る悪趣味はないのだろう。俺は個室に入って、野村さんがくれた建物の見取り図を広げた。
建築当初の物だ、その後改築などはあったろうから多少は変わっているだろうが、躯体そのものは変わっていないはずだ。
でもやはり最上階は幹部達がいる部屋が並んでいる──最高機密とは言え、そこまで隠すものなのか?
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