Story-2 激突へ向けた下準備は念入りに

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すっかり訓練場と化した人口洞窟の中で、拳を握った夜道と美咲がぶつかる。今度は夜道も攻め、縦横無尽に洞窟内を駆け回り手足を振るう。 「ぐゥウ…!!」 空中に浮かんだまま、呻きとともに繰り出された右の蹴り。美咲はそれを弾き、手足に纏った鎧から火を爆発させるように噴射して空中の夜道の背後に回り込み二つの拳を背中へ打ち込ませた。 「ガハッ!」 空中戦は美咲が有利。殴り飛ばされた夜道は壁に激突し、追撃してくる美咲から壁を蹴ってすぐに回避した。 「【灼熱轟拳】!!」 あとを追うように迫る、拳から放たれた巨大な炎の塊。うまく着地した夜道だが、彼はそれをわざとその身に受けた。 「なっ!?」 響の驚愕した声など聞こえない。凄まじい熱と火に衣服もろとも体を焼かれ、吹き飛び転がる。 煙りを上げる夜道は俯せのまましばらく動かなかったが、それでも無理矢理体を起こし立ち上がった。満身創痍と言っても過言ではないだろう、ダメージは大きく、意識を保っているのもやっとなくらいだった。 でも、まだ夜道は止まらない。ふらつく体を意識一つで立て直し、攻めを中断していた美咲へ真正面から向かってくる。 「……ナイトロード、あなたが望むならわたくしはなんでもやります。………けれど、これはあまりに無謀だと思いますわ」 再び放たれる炎の巨拳。そしてまたしても、夜道はガチン!!と歯を食い縛ってそれを体に叩き込ませた。
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