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死んだ子とは全く面識がなかったし恵も同様だった。
「あれって殺人事件で犯人まだ捕まってないんだよね」
恵の声が意識的に低くなっている。
「マジ?ニュースとかチェックしてんの?」
「違うよ!同じクラスだった子に聞いたの」
声のトーンが戻ったがまた低くなり「犯人が持ち去った首も見つかってないんだって」 と、仰々しく言う。
「もしかして話題になった事件かよ?」
哲夫が会話に加わった。
義之は相変わらずつっ立ったままだが話は聞いている。
「そうそう!あの事件!」
恵が両手をパチンとたたいて応えた。
静まり返った公園に音が響く。
「思い出した!あの子が首斬り事件の被害者だった!」
美樹も手を叩いて言った。
「犯人はなんで首を持っていったのかみんな噂しててさ……」
「そうそう」
「家で保管してるんじゃないかって」
恵の言葉に全員が黙った。
義之は背筋がブルッとした。
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