白い日にち

「どうするって、なにがだ？」
「家でゆっくりするって言っても、いろいろあるじゃないですか。ずっと寝てるとか、宮田さんは紅茶とかワインも好きだから、時間があるときにそういう物を楽しむんですか？」
「ああ、そうだな…………」
　そういえばなにをするのか考えていなかった。部屋の中を見渡して、やることを想定する。
「とりあえず掃除だな。それが終わった頃には昼ぐらいになるだろうから、昼飯作って…………DVDでも観ようかな」
「DVDですか。なにを観るんですか？」
　俺はテレビ台の上に置いてある数枚のDVDを確認してから言った。
「ローマの休日」
「すごく古いの観ますね」
「よく行く本屋に昔の映画のDVDが三百円ぐらいで売ってあるんだ。白黒映画ばかりだけど、やっぱり古典は面白い」
　そこまで具体的に説明するとようやく気が済んだようだ。
「わかりました。それじゃあまた」
　不自然に思うほどあっさり通話を終わらせた。