僕が死んだ日

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自身にそんな思考がいつ生まれたのかを覚えていないし、思い出さなければならない理由もない。 知っているのはそれが"楽しい"と言う事だけ。 オスもいればメスもいた。角が生えたヤツや耳が長いヤツ、鱗があるヤツなんてのもいた。 あわてふためいて逃げるヤツ、睨み付けてくるヤツ、反撃してくるヤツも もちろんいたが。 どんなヤツも手足の一本でも千切りとってやれば、皆 絶望に顔を歪めて命乞いをしてきた。 その姿が堪らなく滑稽(こっけい)で面白い。目の前で千切った手足を食ってやれば更に面白い反応が返ってくる。 さて、アイツはどうしてやろうか? 長い舌で血濡れた顔をぬぐうように舐めながら、ああしてやろうこうしてやろうと下卑た妄想を膨らませながら目印を追っていく。 すると森を抜けた所で急にその目印は跡絶(とだ)えた。辺りを見回して見れば、そこは最初にあの獲物に襲いかかったあの河だ。 水の中に飛び込んだのかと思ったが、目印が途切れた場所から河は距離があるし掴まって移動できるモノもない。 そうこうと考えながら首を右へ左へと向けていると。 ポタッ 水滴が頭に落ちた。 空を見上げてみたが今日は雲もなく、満天の星空が見えている。通り雨かと思ったが雨が降っている様子もない。 そうしている間に、また一つ水滴が落ちた。
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