1st シングル

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ああ騒がしい。 右手には髪の毛を逆立てて自己主張全開の新入生が大股で歩き、左手には無駄に香水の匂いを振りまいた同じく新入生がパンプスを鳴らしている。 面倒臭いな……とため息が出そうになるのを必死にこらえ、俺こと春日臨(かすがのぞむ)は入学式が行われる体育館への道を急いだ。 人の流れに沿って行けば、大体は上手くいく。俺の長年の経験則に従うと、俺と同じようなスーツの人々が建物に吸い込まれていくのが見えた。 開け放たれた大きな扉の前で思わずたじろいだのは、騒がしいとかそういうレベルではない音が全力で襲いかかって来たからに他ならない。 ……こんなところに長時間いたら、耳が悪くなる。 隅っこに空いていたイスに隠れるように座り、若干手で耳を覆いながら入学式の開始を待った。 今日から4年間、とりあえずはなんとか生活して卒業するしかない。やりたいことは、それまでに見つけるしかないのだから。
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