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 天宮はその背に向かって、べー、と舌を突き出した。 「……今のは優奏ちゃんが悪いと思うよ」 「分かってるけどさぁ、もうちょっと表情筋うごかしてもよくない?」 「睨まれながら怒られるのも嫌だけど私」 「そーじゃなくてさぁ」 「まぁね、優奏ちゃんはもっと人間らしい宇津保さんと話がしたいんだよね?」 「び、微妙にちがう!」  惜しくもないけれど、かすっていないわけでもない。  そんな複雑な回答に顔を歪ませれば、まぁまぁ、と野上は笑い、白いマスクを顔に付けた。 「今日も一日、自分の為に働くことをここに誓います」  では、御武運を。  ピッ、と敬礼をしたのちスーパーへと続く扉に向かう野上に、天宮もよし、と頷きマスクを付ける。そして野上に続いて、スーパーへの扉を押し開き、頭を下げてから、戦場に出たのであった。 このあと店長に盛大に怒られるハプニングがあることを知らぬまま―――― ②―――終了
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