515人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「恥ずかしいけど……でも、嬉しかった」
倉田さんを助けるために、あんなにも堂々と話していた姿は、見蕩れるくらいかっこよかった。
目の前にいる中野くんが少し申し訳なさそうにしていても、もうそのかっこよさは損なわれない。
「良かった。あんな告白になっちゃったけど……大事にするから」
「う、うん……私も、中野くんのこと、大事に、する」
バクバクと煩い心臓の音を消してしまいたい。
嬉しくて、信じられなくて、夢見たい。
そう思っていると、ポンと頭に大きな手が乗った。
「日南子」
「はい、えっ、ひな」
「日南子の優しいところが、好きだよ。これからはクラスメイトじゃなくて、彼氏としてよろしくな」
「はい!……大翔くん、こちらこそ、よろしくお願いします」
「そういう素直なところも、かわいい」
そう言って、大翔くんは私の頭を何度か撫でて、一緒に帰る約束をして席に戻っていった。
こうして、あんなにぼんやりしていた彼は、相変わらず無口だけど、優しくて男らしくて、頼れる彼氏になった。
*終*
最初のコメントを投稿しよう!