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【今は昔、人里離れた山奥に、神納尊(しんのうのみこと)という人在りけり。
この者、人の心に棲む悪しき思いを術を持ちて形に変えにけり】
古文書に記された怪しい文面を眺めながら、形に変える術とはどんなものだろう…悪しき思いとは、どんな形だろうと想像を巡らせる。
しんしんと雪の降り積もる夜に一人静かに空想に浸る。
うとうとと眠気に誘われ抵抗する事なく目を閉じるる。
『手がかりはこれか…。しかし、それは異国のものではないのですか?』
『何として見つけるのだ。』
手がかり…?異国のもの…?聞こえてくる声に夢なのだから聞いておこうと呑気に思う。
『これで我らの願いが叶うのですね。』
願いが…?願いとは…なんだ…?
ブルッと寒さで目が覚めた。あぁ…うっかり眠ってしまった。妙な夢を見たなと思った。
「原因は…これか。」
きっと、古文書のせいだと、開きっぱなしの本を閉じた。
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