ひまつぶし しりとり

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それは動揺してまさかの初歩的なミス。 負けたのは残念。 でもしりとりなんてしなければ良かったと後悔が押し寄せる。 ただ彼の意地悪さに振り回されただけ。 「そういえば、罰ゲーム……」 決めてなかったね、の言葉は少しだけ涙を含んでいた。 その声に彼の発した「阿保が」が重なる。 「えっ?」 聞き返した時には既に、涙が潤み始めたいた。 「あんたさ、まだ俺の事好きなんだろ?バレバレなんだけど」 急いで完全否定したくても、驚きで声がうまく出ない。それを何とか一言絞り出す。 「まだ好きって……何それ……」 「俺があんたの事忘れたとでも思ってたか?あんたが『はじめまして』って言ったからこっちも乗ってやっただけだけど?可愛くねえよな。他の女デート誘っても平然としやがって。阿保がっ」 彼の顔が怒ってる。 ……少しだけ、怖くて固唾を呑む。
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