第十話 事故

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第十話 事故

 事故を辞書で調べてみると『不注意などが原因で起こる人災、思いがけずに起こった悪い出来事』というようなことが書いてある。  保険や賠償金が欲しくて態と事故を起こすバカどももいるだろうが殆どの人は事故など起こしたくは無いはずだ。だが辞書に書いてある通り、思いがけずに起こるのが事故である。  事故が起こるのは仕方のないことだ。どんなに気を付けていても相手からもらったりする貰い事故は避けようもない、事故は予防も大切だがそれ以上に事故が起きた時の対処方法が一番大事なのである。  対処を誤って大変な目に遭った人を哲也も知っている。尤もその人は事故現場に偶然通りかかっただけなのだが......。  昼食を食べに行こうと食堂へ向かっていた哲也はナースステーションから出てくる看護師の香織を見つけた。 「あっ、香織さんだ」  笑顔の哲也が近付いていく、惚れっぽい哲也が一番気に掛けている看護師が東條香織だ。 「どうしたの哲也くん? 食堂は向こうよ」 「香織さん、朝いなかったでしょ? だから挨拶でもしとこうと思って...... 」  素っ気ない香織に哲也が笑いながら護摩をするように顔を窺う、     
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