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しっとりと濡れた夜に浮かぶ三日月は見ていた。
落葉した雑木林の中を散歩しながら、くしゃりくしゃりと踏みつぶす落ち葉の音に酔い知れて、手を繋ぎ歩く男女いた。二人は目と目を合わせて、恥じらうように微笑み合った。つい先ほど知り合ったばかりなのに、長年探し求めていた運命を感じて、それを確かめ合うために人目のつかない場所を求め、この雑木林の中へと分け入ってきたところだ。
大きな木に背を預た女の顎を持ち上げ、男は唇を重ねていく。目を閉じた女は嬉しそうに微笑みながら、徐々に昂っていく男の荒い呼吸に自分自身も興奮を覚えた。女は自ら白いコートを脱ぎ去ると、白い肌に黒いレースの下着のみというあられのない姿を男に魅せ付けた。男は一瞬驚いたが、恥じらいと妖艶さに魅了されて、女の白くて細い喉にふるいつき、さらにはその下の二つの膨らみに頬を寄せた。その時すでに男の表情は熱に浮かされた子供のように赤らんで、吐く息もどこか苦しそうだった。
「今夜は、あなたの隣で眠らせて」
女が甘くささやくと、男は膝を折ってがっくりと地面に崩れ落ちた。
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