最終章:二人のたどり着く場所

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その週の土曜日は、久しぶりの休日だった。 百々子は桜木町(さくらぎちょう)の駅前にある高級ホテルを訪れていた。 しばらくぶりに菜穂と食事をすることになり、話題のランチビュッフェを予約していた。 そこは国産の黒毛和牛のステーキをはじめ、アワビやフォアグラなどの高級食材をふんだんに使用した料理を食べ放題形式で堪能でき、しかもかなりのリーズナブルな価格なので、人気の店となっている。 菜穂から『待ち合わせの時間に少し遅れる』とメッセージを受け取っていたので、 百々子は先に最上階のスカイラウンジまで上がることにした。 エレベーターを降りると、優雅で落ち着いた空間が広がっている。 ビュッフェテーブルを埋め尽くす豪華な料理や、シェフが目の前で料理してくれるライブキッチンに感激しながら、迎え入れてくれた店員の後ろをついていった。 案内された場所は窓側の眺めの良い席だった。 百々子はキャメルコートを脱いで椅子に座ると、窓から見える景色に思わず見惚れた。
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