強襲の凱甲騎

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 スパルティータは、回転し続ける剣を、仰向けに倒れたリストールの胸部に突き立てる。それは、食い止めようとした機械の両手を粉砕し、鉄の箱と揶揄されるリストールの装甲を、まるで紙箱のように貫いた。  スパルティータがそのまま剣を振り上げると、リストールの機体はバラバラに砕け散り、残されていた物は、かつて脚甲騎だったものの残骸だけであった。操縦者と機関士の生存は、絶望的であろう。  圧倒的であった。  勝負どころか、戦いと呼ぶことさえ出来ない。  その力を誇示するかのように、戦乙女は、回転する刃先を天に向けて掲げる。 「遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!……  これが吾輩の力……これこそが、我が凱甲騎(トライアン)スパルティータと、回旋剣(スピネイバー)の威力なり!!」  掲げられた剣は回転を止め、スパルティータの機体は残心の構えで佇み、全身から蒸気を吹き出している。 「スパルティータがあんな武器を持っているなんて、名鑑には……」 「……ここまでのものなのか……凱甲騎とは、これほどのものなのか……!?」  シディカ、ドルージはおろか、兇賊までをも含めた、全てのものが、機械の剣を頭上に構える鋼鉄の[戦乙女]の存在に恐怖した。  如何(いか)に脚甲騎とはいえ、四騎ものリストールが簡単に、大盾もろとも薙ぎ払われ、しかも、そのうちの一騎が易々と破壊されるという事態に、驚異を覚えたのだ。     
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