第一章『屋上』

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第一章『屋上』

 四時間目の授業の終りを告げるチャイムが鳴った。その瞬間に生徒たち間に、さっとリラックスした空気が流れる。それは教壇にたっているのが英語の長谷川先生だからだ。時間が来たら、いつもすぐにさっと授業を切り上げる、長谷川先生はそういうタイプだ。そしてその日も先生は生徒たちの期待を裏切ることなく「じゃあ。今日はここまでしよう」という言葉をあっさりと口にした。 「起立。礼」 「ありがとうございました」 形だけで特に感情のこもっていない挨拶の後で、昼休みが始まる。  クラスメイトが反射的に出す解放感と、口をついて出るおしゃべりとで、教室の空気も少し浮足立つような感じになる。弁当を持って教室を移動したり、連れだって購買に向かう生徒たちから、いくつもの笑い声がこぼれる。  でも僕は、そんな他の生徒たちがつくる昼休みの教室という空気から取り残される以上に、完全に無関係だった。     
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