純愛は午後3時まで

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「跡が消えるまでに会いに来て」 なんて言ってたから、日を置かずに呼び出されるのかと思いきや、沙原コーチは結構忙しいらしく、あの日から放置されたままの私。 電話やメールは毎日あるけれど。 彼の都合のつく日は私に用事があったりして、いざ会いたいと思うとなかなか会えないものだったりする。 思いが通じあって、なのに会えなくて。 切なさは日々募るばかり。 唯一陸のサッカーの送迎の間だけ会える。 といっても、それは私だけじゃないから、子供達の保護者がうようよ居て。 会話なんか出来るはずもなくせいぜい挨拶程度。 これじゃあ以前と何にも変わらない。 思わず溜め息もこぼれ落ちる。 コーチの周りには相変わらず華やかなお母様方が取り囲んでいる。 コーチは私のものなのに…。 言いたいけど言えない。 以前と変わらないどころか、以前より、悪い気がする。 コーチもコーチだよ。 なんでお母様方に好きにさせてるかな。 へらへら嬉しそうに笑って。 腹立たしいったら。
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