第十三作(調味料)

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 何か良い匂いがしています。お夕飯ですね、お腹空きました。本当に今日は長い一日でしたからね。  「あれ、醤油切れている。買いに行くのは明日だな。将生、隣の部屋から醤油借りてきて」  え?この都会で、このご時世に醤油の貸し借りとかあるんでしょうか? 言われた通りに隣の部屋のインターフォンを緊張しながら押しました。  「はい」  隣のドアが開いてそこに立っていたのは……  「オミさん!?」  えっ?香月さん、二人でお隣同士なのですか?醤油を借りる人も貸す人も同じ顔なのですよ。  「将生、ユズのところに引っ越したんだって?お隣さんだね。今度、ユズがいない時に一度遊びにおいで」  何の遊びか解っていて来るほど初心ではではないですよ。それより僕はいつ引っ越したのでしょう。ああっ、まだその話がきちんとできていません。思い起こして盛大にため息がでました。 【調味料? おしまい】
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