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一話
「いや、あの、無理ですって本当マジ無理です」
「そこをなんとか!」
「無理です」
私は必死に腕を振り払おうとする。しかし相手の力が強く、全く逃げられない。
軽音楽部の部室。
勧誘を断りきれず、とりあえず演奏を見るだけと言われて来てみたら入部届けを書かされかけている、というのが今の状況だ。勘弁して。
だってどう考えても場違いだ。こんなキラキラした人たちに混ざるとか絶対無理。確実に浮く。
そもそも何でこの人私に声かけたんだろう。どう考えてもパッと見雰囲気合わないでしょ。
そんな相手はイケメンである。いかにも女子ウケが良さそうなはつらつとしたイケメン。ネクタイの色的に多分2年生だろう。
「いけるって、大丈夫だって!」
何が?思わずツッコミを入れそうになる。なんだそのよくわからない励ましは。
「ええと、私楽器何一つとしてできないんですよ。不器用だし」
「いいよ、ボーカルやって」
「なお無理です!」
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