7人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
*-*-*
昼休み中 長々と厳重注意を受け、放課後に反省文を書かされた黒城は、漸く解放されて帰宅しようとしていた。
恐喝未遂という事で、あれだけ長く拘束されたが後悔はない。
けれど、彼女を庇うためとはいえ、咄嗟に突き放してしまった事だけが棘のように心臓を刺している。
あの時、彼女の顔を見たら確実に言えなかったから確認していないが、自分の言葉で傷つけたかもしれない。
──思えば、花瓶を踏み潰した時も彼女に泣きそうな顔をさせてしまった。
分かってはいたが、やはり自分には優しくしたりする事は向いていないのだろう。
自分が率先して傷をつけていては、守るも何もない。
だからこそ、彼女を自分から離さなければいけないと考えていた。
律儀な彼女から渡された飲み物を鞄にしまう。
自分とは正反対の人間だ。
だからこそ、こんなに──。
正門の近くまで来て、黒城は人影に気がついた。
最初のコメントを投稿しよう!