4 きらきらとゆらゆら

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 ほっとしたら、また口の中がじわじわ濡れてきた。思い出した味が広がってきて、喉を鳴らす。 「……もう一回してもいい? 痛くしないから」 「えっ……だ、だめっ!」 「何で?」 「あ、あんなこと、されたらっ……頭の中、真白でいっぱいになっちゃうもんっ……」 「……なっちゃえばいいじゃん」  りっちゃんの頭の後ろ押さえつけて、僕はまた、りっちゃんの口に触った。自分の口で。 「んっ……!」  ぶるぶるした弱い手がシャツにしがみついてきた途端、お腹の底がぞわぞわして、また狭い口の中で遊ぶ。  壊される。わかってるのに、やめられない。  だって、気づいた。  僕でいっぱいにしちゃえばいいんだって。律を入れる隙間がないくらい、りっちゃんの中、僕で埋めちゃえばいいんだって。そしたら律が汚されなくて済む。僕が、律を、守ってあげられる。  噛みちぎったら、どんなものがあふれ出してくるんだろう。何回も想像しながら、ぎこちない舌をゆっくり何回も味わう。  ちっとも甘くない。甘くないから、蜜じゃない。これはきっと、蜜になるのに失敗した毒。触った先から狂わせる、危険な毒。  こんなもの、いつまでも律の傍にあっちゃいけない。律も、他の誰も、知っちゃいけない。  支えてた頭が手に寄りかかってきて、いつの間にか口を離してた。
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