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手術
「じゃあ、今から手術をします。そこのベッドに寝てくれるかな。文字通り。眠って良いから。」
そう、理さんに促され、僕は診療所にあった、別室の手術台に寝かされた。
「手術?お祓いとかじゃないんですか?」
そういう僕の質問に、やはり理さんは笑顔で答える。
「お祓い?ははは。今の時代にそぐわないだろ。うちは心霊外科だからね。あくまでも手術さ。」
言って、僕の頭に何やら紙を貼り付ける。
結局、命には代えられないと、僕は理さんに夢魔の退治を依頼した。
この現象が【呪い】などではなく、神様のせい…ましてや僕が原因だとすると、若干、心に抵抗はあったのだが、他に方法は無いと言われては従う他になかった。
「僕は外科医だからね。あくまでも【切る】のが専門だ。ま、他の専門家は知らんけど。」
そう言っていたので、もしかしたら他にも方法はあるのかも知れない。
そして【知らんけど】ではなく、理さんは間違いなくその方法を知ってはいるだろう。が…僕には教えてくれなかった。
「弥生!【夢切】《ゆめきり》持っておいで!」
僕の準備が出来たところで、理さんは奥の部屋に声を掛けた。
どうやら理さん以外にも人はいたらしい。
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