微熱花火

9/17
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
ていうか、知ってたのに彼女のフリしてとか言う? 鬼か、鬼なのか! 今度は青くなる私を見て、先輩は愉快そうに笑う。 「とりあえずさ。 花火大会、行くか」 「ハイ!……はいっ!?」 条件反射のように返事をしてしまってから、何の誘いを受けたのか気付く。 「えっ!? 花火大会ですか!?」 嘘でしょっ? 「何だよ、嫌?」 いえいえいえいえ、滅相もございません。 夢じゃないかと自分の頬をつねってみる。 「何やってんの」 呆れたように溜息を吐かれて、ぷに、と先輩にも頬を摘まれる。 「ゆ、夢かと思って」 「じゃあやめる?」 「えぇ!!嫌です!!」 思わず全力で否定してしまった。 これはマズイ。私の恋心ったらダダ漏れだ。 先輩は、 ふっと笑いながら、今度は私の鼻をムギュッとつまむ。 「じゃあ、約束な」 「は()っ!」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!