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指が触れた瞬間、ぴくんと文ちゃんの体が揺れて、俺を見上げる猫のような目に、つい誘われるように顔を寄せ、軽く唇を合わせると、
「ちょっ、ちょっと和真、ダメ!」
大慌ての文ちゃんにぐいっと押し退けられた。
「ここ!スーパーの駐車場!」
「あ」
そう言えばと思い出し、周りを見回す。
幸いと言うか、ちょっと確信犯なのたが、俺の車は駐車場の一番奥、車と車の間に、頭から突っ込む形で停めていて、正面は壁で左右の車は無人だ。
「まあまあ、誰も見てないから」
よほど恥ずかしかったのか、宥める俺を恨めしげに見る文ちゃんの唇が小さく尖る。
(むくれ顔すら、可愛い)
大分、頭がやられてるらしい自分を自覚しながら、
「文ちゃん、ちょっとだけ屈んで」
俺は怒られる覚悟で素直に身を屈めた彼女に顔を寄せると、座席に隠れ、その小さな唇を今度はもう少し長めに塞いだ。
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