虎、馬る。

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 差し出されたままのコンドーム。  保健の授業だとか、性教育だとかで避妊具だって習った。でも、実際に、自分がそれを使うことなんてないと思っていたから使い方なんて上の空だった。  啓太先輩とセックス、するときは、避妊具を、使う。の、かな?  妊娠なんて、できないのに?  首を傾いだままその小さな四角を眺めていた。  啓太は少し思案した後で、コンドームを自分の脇に置く。  「取り敢えず、眞澄が思うようにすればいいよ」  「コンドームは?」  「それは後でにしよっか」  提案と共に、腰を引き寄せられる。  瞼を閉じて唇が重なる。フワッとした感触に頭の中もフワッとする。  啓太の手が腹に触れる。カサカサした肉刺の痕がくすぐったくて、臍の下辺りに来ると擽ったい、がなんかモゾモゾした、落ち着かないのに変わる。  「……ン、」  じわじわと下腹が熱くなって来る。  「眞澄がしないなら、俺がしちゃうよ」  シャツの上からキスされた心臓が、きゅぅんって縮んだ。  「それは、ダメ……!!」  触れられながら、なんて、絶対できない。あんなキモチイイコトされたらなんにも考えられなくなってしまう。  「ダメ、です。」  指先がまだ惑う。  どんな風にさわればいいのだろう。啓太はどんな風に、さわっていたっけ。服の上から揉まれた。で、腰回りから、手が、入って……。  「えっ、と……」  恥ずかしくて、ドキドキする。ドキドキするけど、  「失礼します!!」  「ぅぎっ!」  力加減を間違えて上から握り込んだ。
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