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桜の木の下で
シダレザクラ――そういう名前だと教えてもらった。
敷き詰めるように満ちたサクラの花の布団に横になって、湧き水が噴き出したように流れ落ちるサクラを見上げる。風が吹くと花が舞い上がって、枝から落ちる花と混ざってぐるぐると回る。世界がサクラ色に満ちている。花が散れば、新しい花が咲き、サクラの花が溢れ出る。
小さな丘の上にあるサクラの木の下。決して枯れることのないサクラの下に私は居る。
ずっと、この景色が見たかった。どんな景色が見えるのか、小さかった私はいつも想像してきた。とても綺麗に違いない。そう思って、一生懸命に想像した。
実際に間近で見るサクラ色の景色は、今までに繰り返してきたどの想像でも適わなかった。
現実は、私の空想よりも、とても、ずっと、素敵だ。
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