ヘンゼルとグレーテル

3/9
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
兄のヘンゼルと弟のグレーテル。 彼らはそう名乗った。 そしてここは、お菓子の家だ。 なんか、聞いたことある、こんな話。 なんだっけ…? お菓子の家に誘い込まれて… 魔女に食べられそうになった所を… 返り討ちにして、ハッピーエンド? 「お姉さんは、何してたの?」 「私は…気づいたら、森をさまよってて…この小屋を見つけて……」 「ふぅん。本当に?」 ほおづえをつきながら、ヘンゼルがニッと口元を歪ませる。 「え?」 「本当は、魔女だったりしてー」 「きゃーこわーい。悪い魔女?」 グレーテルも同じようにほおづえをついて、上目遣いでこちらを見る。 いたずら気にニヤニヤを笑う口元は、何か企んでいるようだった。 「ちょっと待って、私は魔女じゃない!」 席を立ち、机にバンっと手をつく。 すると彼らもまた席を立ち、私の元へグイグイと迫ってくる。 「証拠は?ないでしょ?」 両側から私が逃げないように、腕を掴まれる。 ドキッとして身体を引くけれど…力が強く、振りほどけない。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!