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兄のヘンゼルと弟のグレーテル。
彼らはそう名乗った。
そしてここは、お菓子の家だ。
なんか、聞いたことある、こんな話。
なんだっけ…?
お菓子の家に誘い込まれて…
魔女に食べられそうになった所を…
返り討ちにして、ハッピーエンド?
「お姉さんは、何してたの?」
「私は…気づいたら、森をさまよってて…この小屋を見つけて……」
「ふぅん。本当に?」
ほおづえをつきながら、ヘンゼルがニッと口元を歪ませる。
「え?」
「本当は、魔女だったりしてー」
「きゃーこわーい。悪い魔女?」
グレーテルも同じようにほおづえをついて、上目遣いでこちらを見る。
いたずら気にニヤニヤを笑う口元は、何か企んでいるようだった。
「ちょっと待って、私は魔女じゃない!」
席を立ち、机にバンっと手をつく。
すると彼らもまた席を立ち、私の元へグイグイと迫ってくる。
「証拠は?ないでしょ?」
両側から私が逃げないように、腕を掴まれる。
ドキッとして身体を引くけれど…力が強く、振りほどけない。
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