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紗香さんのお墓に行った後、ミヤビにアパートまで送ってもらったら玄関の前に人影が見えた。
「カイト…」
横からミヤビの手が両肩に手を乗る。
「俺はここまで!タッチ交代。
ミヅキちゃん、お家に帰っても暫くは大人しくしてんだよ?そうしないと傷口また開いちゃうからね?」
「え?お茶でも飲んで行けば良いのに」
「俺、ボコボコにされたくないから」
声を出して楽しそうに笑うと
「ミヅキちゃん・・・またね?」って去って行くミヤビ。
うん、また…
ありがとう、ミヤビ。
その姿を見届けていたら、カイトが近づいて来て鞄を少し乱暴に取り上げた。
「お帰り。」
「うん…。」
玄関に向かって歩き出すカイトを慌てて追いかける。
「カイト、忙しいんでしょ?私はその…一人で平気だよ?」
「…お前さ、公民館で子供達に教えてる空手教室、今週行くつもりだろ。」
「え?う、うんまあ。」
玄関を開けると、ふうって溜息をつく。
「やっぱりな。お前、傷口開くぞ子供の相手なんかしたら。」
空いてる方の手で頭をぐしゃっとやられた。
「お月謝貰ってる以上は、あまりお休みするのは良くないから…」
「わかってる。だからさ、俺とミヤビが代わりに行く事にしたから、お前は休んでろ。」
い、『行く事にした』って…
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